ど派手な衣装を身に纏う姿もいつまで見ることができるか…
『栗橋駅に接続線を設け、新宿から直通特急を走らせる』
そんなの妄想上の話でしかないだろうなんて思っていた幼い頃。そんな光景が今では当たり前に見られるようになりました。
東武側は看板車両である100系スペーシア、JR側は余剰だった485系を魔改造してスタートし、その後に空港輸送から降板した253系を再び魔改造し専用車に充てています。特に253系は白と赤を基調にしたスタイリッシュな配色から一転し、まるで山に色付く紅葉達を連想させるような姿へ衣替え。車内もシートピッチがスペーシアと合わせられたりと大掛かりに手を加えられ、足回りも同時期に転用改造が進められていた205系と同じく東洋製IGBT-VVVFへ換装されたりと、JR側の意気込みが十分に伝わってくる車両へと生まれ変わったのです。
毎日黙々と新宿と東武線を往復していた同車ですが、2023年春のダイヤ改正で東武線直通特急の一部季節便化が決まった事で乗車機会が減ることとなりました。同時期に改造された205系が全車引退していることを考えると、”新車を入れるまでの延命措置に入ったのか”と勘ぐりたくなってしまいます。
ともあれ、乗りづらくなってしまう前にとやってきたのですが…進路上にて輸送障害が発生しているではありませんか。。
「発車時間は未定です」
そんなアナウンスを繰り返し聴いていると、一時間がまもなく経過するであろう頃にようやく出発指令が下され、新宿駅をゆっくり経つ列車にほっと一安心。
並走する西武新宿線の黄色電車や上を交差する西武池袋線の黄色電車に気を取られていたら、あっという間に池袋へ到着。その後、大宮へ到着する直前と白岡を通過する直前以外で信号に引っ掛かったことを除けば特急列車らしい快走を見せてくれる253系。これだけの遅延を背負っているので、JR線内を抜けるまではノロノロ運転を覚悟していた身からすると嬉しい誤算でした。
栗橋で東武側の乗務員へ速やかに交代し、再び快走を始める253系。日光方面の特急道中で利根川を渡る長い鉄橋を越えると、いよいよ遠くまでやってきたなとしみじみと感じるのは私だけでしょうか。
途中駅でのドア扱いもブザー式に変わり、ドアが閉まったあとの「ピロロッ」音からも、この車が間違いなく東武線を走っているのだ…と認識させてくれます。
前方からDE10形機関車が率いる客車とすれ違うといよいよ下今市。ここから日光へ向けて一気に登坂していく様子は必聴です。